主人公のちひろ役を務めるのは、今や国民的女優となった有村架純。優しさと厳しさの両方を併せ持ち、ど こか陰があってひょうひょうとしているという、難しい役どころのちひろだが、有村は深みと軽やかさをま とって新境地を開拓している。 脇を固める役者陣も多彩だ。弁当屋の主人の妻・多恵を演じる風吹ジュンや、風俗店の元店長役のリリー・ フランキーといったベテラン陣から、若葉竜也、豊嶋花といった若手の注目俳優まで、個性的なメンバーが 集まった。 メガホンを取るのは、『愛がなんだ』(19)や『街の上で』(21)など立て続けにヒット作を生み出し、 『窓辺にて』(22)の公開を迎えた今泉力哉。本作では、恋愛映画の旗手と言われている今泉が、純粋な恋 愛とは距離を置く登場人物たちの人間模様を繊細に描き、新境地を見せる。
ちひろは、海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く元・風俗嬢。
ちょっと口が悪くて、マイペース。
そして自由。
そんな彼女は街では浮いている。
へんな”おとな”だ。
でもなんでだろう、彼女に会いたい。
ひとり母の帰りを待つ小学生、誰にも本音が言えずにいる女子高生、
そして無口なホームレスのおじさん・・・・
ちひろの優しくない言葉と素っ気ない態度が、
さびしくて不思議とあったかい。
この不思議を体験しに、さあ、ちひろさんに会いに行こう。
主題歌は今泉監督が愛するバンド・くるりが書き下ろし、岸田繁が全編の劇伴音楽を作曲した。くるりと岸田ならではの大胆かつ繊細に心に響くメロディーと言葉は、ちひろのキャラクターと作品の世界に美しく寄り添い、その魅力をより一層引き立てる。
作品を彩るお弁当も欠かせない。『かもめ食堂』『南極料理人』『深夜食堂』など、日本映画を食で彩ってきた飯島奈美がフードスタイリストを務め、作品の中で重要なパートを担っている。どんなにつらいことがあっても、人はご飯を食べる。誰かと、またはひとりで。食べることは生きることであり、悲しみや孤独を癒やしてくれるのだと教えてくれる。まるで、ちひろの存在のように。
ちひろ(有村架純)は、風俗嬢の仕事を辞めて、今は海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働いている。元・風俗嬢であることを隠そうとせず、ひょうひょうと生きるちひろ。彼女は、自分のことを色目で見る若い男たちも、ホームレスのおじいさんも、子どもも動物も・・・誰に対しても分け隔てなく接する。
そんなちひろの元に吸い寄せられるかのように集まる人々。彼らは皆、それぞれに孤独を抱えている。厳格な家族に息苦しさを覚え、学校の友達とも隔たりを感じる女子高生・オカジ(豊嶋花)。シングルマザーの元で、母親の愛情に飢える小学生・マコト(嶋田鉄太)。父親との確執を抱え続け、過去の父子関係に苦悩する青年・谷口(若葉竜也)。ちひろは、そんな彼らとご飯を食べ、言葉をかけ、それぞれがそれぞれの孤独と向き合い前に進んで行けるよう、時に優しく、時に強く、背中を押していく。
そしてちひろ自身も、幼い頃の家族との関係から、孤独を抱えたまま生きている。母親の死、勤務していた風俗店の元店長・内海(リリー・フランキー)との再会、入院している弁当屋の店長の妻・多恵(風吹ジュン)との交流・・・揺れ動く日々の中、この街での出会いを通して、ちひろもまた、自らの孤独と向き合い、少しずつ変わっていく。
これは、軽やかに、心のままに生きるちひろと、ちひろと出会う人々―彼らの孤独と癒しの小さな物語。
1993年2月13日生まれ、兵庫県出身。2010年に『ハガネの女』(EX)でドラマデビューし、その後NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK/13)での好演で一躍注目を集める。2015年、『ビリギャル』で主演を努め、アカデミー賞主演女優賞・新人俳優賞を受賞、2021年『花束みたいな恋をした』でアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。その他主な出演作品は、『ナラタージュ』(17)、『そして、生きる』(19)、『るろうに剣心最終章』(21)、『前科者』(22)などがある。
2007年3月27日生まれ、東京都出身。1歳の時から芸能活動を開始し、5歳の時に出演した映画『外事警察 その男に騙されるな』(12)で可憐な容姿と大人顔負けの演技が絶賛された。
主な出演作は、
ドラマ「梅ちゃん先生」(NHK/12)、「ごちそうさん」(NHK/13)、「八重の桜」(NHK/13)、「昼顔」(CX/14)、
「キッドナップ・ツアー」(NHK/16)、「トットちゃん!」(EX/17)、「大豆田とわ子と三人の元夫」(KTV/21)、「みなと商事コインランドリー」(TX/22)「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(NTV/22)、映画『真夏の方程式』(13)、『恋妻家宮本』(17)、『生理ちゃん』(19)、などがある。
2023年は大河ドラマ「どうする家康」に出演。
2014年1月13日生まれ、東京都出身。現在8歳になる子役、存在感や演技力に評価が高く、今後の活躍が期待される。「ハンクとトラッシュトラック」(NETFLIX/20)では声優デビューも果たしている。主な出演 作 品は、「♯家 族 募 集します」 (TBS/21)、「恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋 愛 論~」(Amazon Prime video /22)、『LOVE LIFE』(22)などがある。
1991年1月29日生まれ、山口県出身。モデル、アパレルのプレスやダンサーなど活動は多岐にわたる。ミスインターナショナルクィーンジャパン2019グランプリ受賞後、日本代表として世界大会へ出場し6位入賞。トランスジェンダーを公言しており、自身のyoutube チャンネル “vantube” では性転換手術の様子を収めた動画の再生回数がミリオンを突破するなど、多方面から注目を集める。現在はタレントとしての活動にも力を入れており、演技は今回が初挑戦となる。
1989年6月10日、東京都出身。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で数多くの作品に出演。2016年『葛城事件』で第8回TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。主な出演作品に、映画『パンク侍、斬られて候』(18)、『愛がなんだ』(19)、『台風家族』(19)、『生きちゃった』(20)、『罪の声』(20)、『AWAKE』(20)、『あの頃。』(21)、『街の上で』(21)、『くれなずめ』(21)、『前科者』(22)、『神は見返りを求める』(22)、『窓辺にて』(22)などがある。
1995年3月10日生まれ、神奈川県出身。2013年、ファッション誌『ViVi』専属モデルオーディションでグランプリに輝く。(2017年卒業) 主演映画『隠れビッチやってました。』(19)で東京国際映画祭にて東京ジェムストーン賞を受賞。主な出演作品は、『君は永遠にそいつらより若い』(主演/21)、「ひよっこ」(NHK/17)、『彼女はキレイだった』(カンテレ/21)、「最愛」(TBS/21)などがある。
2005年10月24日生まれ、静岡県出身。2020年、『破壊の日』春野夏子役でスクリーンデビュー。その後、映画『光を追いかけて』ではヒロインに抜擢され、多くの注目を集めた。その他主な出演作品は、「ノースライト」(NHK/20)、「青のSP」(KTV/21)、「息をひそめて」(Hulu/21)、『ハウ』(22)、「一橋桐子の犯罪日記」(NHK/22)などがある。
1976年3月19日生まれ、東京都出身。91年、ファッションモデルとして芸能活動を始める。00年、「アナザヘヴン」で女優デビュー。田口ランディ原作「コンセント」(02)で映画初主演。出演作に、『八日目の蟬』(11)、『はやぶさ/HAYABUSA』(11)、『まほろ駅前狂騒曲』(14)、『猫なんかよんでもこない。』(16)、『八日目の蝉』(11)、『溺れるナイフ』(16)、『青葉家のテーブル』(21)、『ちょっと思い出しただけ』(22)などがある。
1951年8月28日生まれ、東京都出身。1970年頃より様々なセッションに参加し、1975年に『ムーンライダーズ』を結成。グループ活動と並行して楽曲提供やプロデュース、ドラマやCMへの出演など活動は多岐にわたる。2018年『アウトレイジ最終章』の映画音楽を手がけ日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。主な出演作品は、『ラストレター』(20)、『ほとぼりメルトサウンズ』(22)、『ちょっと思い出しただけ』(22)などがある。
1954年2月3日生まれ、東京都出身。1974年、舞台「ストリッパー物語」で鮮烈なデビューを果たす。バンド「季衣&The Blues Road」を結成し、ボーカルを務めるなど幅広く活動。主な出演作品は、『時をかける少女』(83)、『夢』(89)『死国』(99)、『ゲロッパ』(03)、『理由』(04)、『犯人に告ぐ』(07)、『百円の恋』(14)、『焼肉ドラゴン』(18)、『ミッドナイトスワン』(20)などがある。
1953年11月2日生まれ、愛知県出身。1974年、劇団『つかこうへい事務所』旗揚げに参加。劇団解散後は、舞台・映画・テレビなどで数多く活躍する。1982年、『蒲田行進曲』(82/深作欣二監督)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞他多くの賞を受賞。主な出演作品は、「白夜行」(TBS/06)、『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』(17)、「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(CX/18)、『Fukushima 50』(20)、『浅田家!』(20)などがある。
1963年11月4日生まれ、福岡県出身。俳優、小説家、絵本作家、構成・演出など多分野で活動。初の長編小説『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』がベストセラーとなり、06年本屋大賞受賞。俳優としては、2009年『ぐるりのこと。』(08)でブルーリボン賞新人賞を受賞。2013年、『凶悪』(13)『そして父になる』(13)では、第 37 回日本アカデミー賞優秀助演男優賞(『そして父になる』は最優秀助演男優賞)など多数受賞。第 71 回カンヌ国際映画祭では、主演を務めた『万引き家族』(18)がパルム・ドールを受賞。その他出演作品に、『海街diary』(15)、『美しい星』(17)、『キネマの神様』(21)、『余命10年』(22)、などがある。
富山県生まれ。1975年、「寺内貫太郎一家2」(TBS/75)にて女優活動開始。1991年、『無能の人』(91)で日本アカデミー賞やブルーリボン賞、毎日映画コンクール助演女優賞など受賞。主な出演作品は、「八重の桜」(NHK/13)、『真夏の方程式』(13)、「半分、青い。」(NHK/18)、『やすらぎの刻〜道』(EX/19)、『浅田家!』(20)、「両刃の斧」(WOWOW/22)などがある。
1981年2月1日、福島県生まれ。2010年『たまの映画』で長編映画監督デビュー。一筋縄ではいかない繊細な恋愛映画を独自のオフビートな笑いとともに描き続けている。主な監督作に『愛がなんだ』(19)、『あの頃。』(20)、『街の上で』(21)など。現在、最新作『窓辺にて』(22)が公開中。待機作にドラマ「杉咲花の撮休」(23)が控えている。
1978年生まれ、東京都出身。主な脚本作品に『シェル・コレクター』(16/坪田義史監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『影裏』(20/大友啓史監督)、『Arcアーク』(石川慶監督)、『かそけきサンカヨウ』(21/今泉力哉監督)など。待機作に『恋のいばら』(23/城定秀夫監督)がある。
1976年生まれ、京都府出身。ロックバンド『くるり』のボーカリスト/ ギタリストとして、1998年10月にシングル『東京』でメジャーデビュー。以降、作詞作曲の多くを手掛け、バンド活動と並行して映画音楽制作、CMやアーティストへの楽曲提供も行う。そのほか京都市交響楽団への交響曲書き下ろしや京都精華大学特任准教授を務めるなど活動は多岐にわたる。
東京生まれ。TVCM、広告を中心に、映画などでも活動中。主な仕事に、映画『かもめ食堂』(06/荻上直子監督)、『南極料理人』(09/沖田修一監督)、『舟を編む』(13/石井裕也監督)、『海街ダイアリー』(15/是枝裕和監督)、『真実』(19/是枝裕和監督)やNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』、ドラマ『深夜食堂』、『カルテット』(TBS/17)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(KTV/21)、料理番組NHK Eテレ『365日の献立日記』など。主な著書に『LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。』(ほぼ日)、『ワインがおいしいフレンチごはん』『献立 沢村貞子 料理 飯島奈美』(リトルモア)など。
撮影技師としてこれまでも多くの今泉作品に参加。近年の主な作品として『街の上で』(21/今泉力哉監督)、『サマーフィルムにのって』(21/松本壮史監督)、『ひらいて』(21/首藤凛監督)、『こちらあみ子』(22/森井勇佑監督)などがある。
主な作品は、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16/中野量太監督)、『台風家族』(19/市井昌秀監督)、『浅田家!』(20/中野量太監督)、『サマーフィルムにのって』(20/松本壮史監督)、『チェリまほ THE MOVIE』(22/風間太樹監督)などがある。
神戸市出身。大学卒業後、磯見俊裕に師事、映画美術䛾世界に入る。主な作品に、『そこのみにて光輝く』(14/呉美保監督)、『きみはいい子』 (15/呉美保監督)、『オーバー・フェンス』 (16/山下敦弘監督)、 『武曲』(17/熊切和嘉監督)、『町田くんの世界』 (19/石井裕也監督)、『麻希のいる世界』 (22/塩田明彦監 督)、『マイブロークンマリコ』 (22/タナダユキ監督)、『ケイコ 目を澄ませて』 (22/三宅唱監督)など。
1989年1月17日生まれ、埼玉県出身。多摩美術大学在学中からフリーの録音助手として活動。『サッドティー』以降、多くの今泉作品を手掛ける。主な作品に、『ミスミソウ』 (18/内藤瑛亮監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『ヤクザと家TheFamily』(21/藤井道人監督)、『哀愁しんでれら』 (21/渡部亮平監 督)、『余命10年』(22/藤井道人監督)など。
原作の漫画と脚本を読んだ時、純粋に面白いと感じました。
息詰まった何かを優しく掬い取ってくれる、じんわりじんわり染み渡るお話で、まるで”ちひろさん”のドキュメンタリーを見ているかのような感覚になり、新しい視点で物語に参加することができました。とはいえ、自分がちひろさんを演じさせていただいたわけですが、撮影が終わるまで”ちひろ”と呼ぶことができず、”ちひろさん”がしっくりくる役どころで、それがどうしてなのかは、物語をご覧になっていただけると嬉しいです。永遠にちひろさんの背中を追いかける、初めての経験でした。
今泉さんとは「有村架純の撮休」以来となりましたが、印象変わらず非常に穏やかな撮影現場でした。1カット1カットをストイックに、モニターでチェックするだけでなく時に現場で芝居を目視しながら、最後まで丁寧に切り取って下さいました。今泉監督の戦い方が、この作品にとても合っているように思いました。
この世界には、一人漂うように生きることを愛する方もいます。この作品はまさに、一人を愛する人間を主人公に迎えた物語です。誰にも、何にも邪魔されない、干渉しない、影響を受けない、ただただ思うままに生きることを選べたら。そんな生き方が出来たらどれだけ楽だろうか。 しかしながら、生きるそばには必ず誰かがいるのも事実です。
一人の時間を大切にする日常の根底には人の温もりがあるということに、改めて気づける作品でもあるのではないかと思います。
各々呼吸のしやすい場所で好きに生きていいじゃないの、と認め合える世界がたくさんありますように。 “ちひろさん”という新しい物語を是非、楽しんで頂けたら嬉しいです。
ささくれてるのに、なにか温かい。
ちひろさんの奏でるなめらかさと、今泉監督のグルーヴがすごくやわらかく、心に残る撮影期間でした。
この作品が大好きだ!という制作の方々からの依頼。 巷にいるなんでもない人たちを見つめる目線が大好きな今泉力哉監督。 目の奥に読み切れない静けさを持つ女優の有村架純さん。『ちひろさん』がとうとう実写化されました。 海辺の街の撮影現場に一度だけお邪魔した時に感じた (あ。これはいい作品になるな) という手ごたえ。
完成品はまだ観ていませんがそうなっているはずです。
『ちひろさん』の漫画原作を読んだときのこと。
ちひろさんは、とてもミステリアスです。周りの人たちも、
人は誰もが、他人に言えない秘密や、
漫画『ちひろさん』にはじめて触れた時、この人物を生み出した作者に会いたいと強く思い、プロデューサーに頼んで安田さんと会わせていただきました。 その場では、映画化に向けての話し合いというよりも、なんだか人生相談のような、また、ちひろをはじめとする登場人物たちの寂しさや生きづらさ、しあわせのかたちはひとつじゃないこと、変わった大人に出会うことの意義などについて、たくさん話し合ったことを憶えています。 有村さん演じるちひろの寂しさはとても美しいです。私は生きるのがあまりうまくないのですが、そんな誰かに届いたら嬉しいです。
私が演じたオカジは、家族に正直な気持ちを言えず悩んでいましたが、ちひろさんやマコトに出会えたこ とで少しずつ成長していきます。
オカジはちひろさんのことを「私はこんな大人を見たことがない」と感じています。 有村さんが演じたちひろさんは、自然と人を惹きつける不思議な魅力を持った人で、生きづらさを感じて しまって辛いときには、さりげなく前を向く勇気をくれます。現場での有村さんは、まさにちひろさんそのも ので、オカジだけでなく私にとっても憧れの存在でした。 私もちひろさんのように強く、自分の芯を持った人になれるように、これからも自分自身を磨いていきた いと思います。
今泉監督とは今回初めてご一緒させていただきました。現場では一つ一つ丁寧に芝居をご指導いただ いたので、役作りをするうえでとても心強かったです。 この映画は、観ていただいたみなさんに活力を与えられる作品になっていると思いますので、ぜひたくさ んの方にご覧頂けると嬉しいです。
今泉監督の緻密に計算された演出は、 慎重な本読みや丁寧な衣装合わせからも 今作への熱量の高さが有り、映画好きにはたまらない作品だと思います。
有村さん演じるちひろさんは誰もが虜になるくらいチャーミングです。メインキャストが集まった屋上のシーンの再現が有るなら迷わず参加したいと思う愛しいメンバーでした。
何処でもありそうな幸せな時は、ちひろさんの心を捕まえられるのでしょうか?
漫画『ちひろさん』を最初に読んだときのことは、忘れられません。
ちひろという人物が、笑ったり、怒ったり、涙を流したりしながら、作品の中でまるで本当に息をして生きているような感じがしたのです。
今泉監督で映画化というアイデアを中里プロデューサーからお聞きし、このちひろという女性を表現できるのは今泉さんしかいない、彼の描くちひろさんにどうしても会ってみたいという一心で企画を進め、Netflixさんとご一緒に実現することが出来ました。
そして、主人公・ちひろを体現していただいた有村架純さん。繊細で豊かな表現力と、揺るぎない人間的な魅力。撮影中、ちひろとして”生きて”いた有村さんの姿一つ一つが、今も目に焼き付いて離れません。
作品はまだ完成前ですが、心の中の喜びも痛みもそっとなぞってくれるような、見終わった後、世界が少し広がって見えるような、そんな作品になりそうです。
ちひろさんとの出会いを、ぜひ楽しみにお待ちください!
有村架純さんは今までもあらゆるお芝居や豊かな表情で人々を魅了してきた女優さんです。その中でも今回の「ちひろさん」は、新たな発見と驚きでいっぱいでした。 温かくて厳しくて、近いようで遠くて、大人なようで少女のようで、妖艶で勇敢で。見たことのない有村さんがこの映画には存在し、そしてその姿は今、世の中が最も欲している魅力的なヒロイン像なのでは、と思わせてくれました。
私もコロナ禍において、原作「ちひろさん」に心を救われた一人です。そして、今泉監督が丁寧に愛情を注ぎ続けて創り上げたこの映画を通して、一人でも多くの方に前を向いて生きていくことの美しさを感じていただきたいです。